樹木医の立花武志さんは各地の桜をよみがえらせ、桜の名所を生み出してきました。例えば、樹齢９０年以上のソメイヨシノが並ぶう川古代桜（うがわいにしえざくら）や幹周りが３メートル、高さ１７メートルもある巨大なしだれ桜、通称千恵子桜など地域の人とともに桜を復活させてきました。

　そのひとつ千恵子桜は、７０年前、農業開拓移民としてブラジルに嫁いだ女性の名。彼女を思い植えた桜ですが、過疎化により親族がいなくなり忘れ去られていました。隣町に引っ越してきた人が偶然見つけ、立花さんに相談。桜に宿った思いを、この先も残していこうと地域を巻き込み、千恵子桜の手入れを行い周りを整備していきます。弱っていた桜は見事によみがえり、４年前には親族も町に戻ってきました。

桜の力を信じる立花さんは、木を守ることで人々の思いを未来につなげようとしています。