日本が世界に誇る輪島塗の産地、石川県輪島市。
石川県では9人目、漆芸の町・輪島市内で3人目となる重要無形文化財保持者、
いわゆる人間国宝が去年新たに誕生した。
新たに認定されたのは山岸一男さん(64歳)。
漆面を彫って彩る加飾の一つ「沈金」の分野での認定で
特に彫った溝を色漆などで埋める「沈金象嵌」や黒漆をいれる「沈黒」で
漆芸の表現の可能性を広げた。
しかし、山岸さん自身は遅咲きで、評価が高まったのは50を過ぎてから。
漆に関わる家に生まれたわけでもなく、弟子の時代は作業の手も遅かったと話す
山岸さんだが、それでもこの道を歩み続けたその思いを卓越した技と作品を通して伝える。