放送日:2018年8月11日
能登上布が奏でる伝統の音
今では珍しい機織りの音が響き渡るのは、
明治24年創業の「山崎麻織物工房」(石川県羽咋市)です。
織っているのは「能登上布」。“上布”は上等な麻織物のこと。
能登で確立された「能登上布」は、全国の着物の愛好家から親しまれ、
その軽さと涼やかな風合いは“セミの羽根のよう”と形容され、まさに“麻の芸術品”です。
もともと、この地域にある「邑知潟」周辺は上等な麻の産地であったこともあり、
昭和初期には、織元の数は140軒を超え、麻織物で全国一の生産量を誇ります。
工程は「櫛押し捺染」、「機巻き」と能登上布独特の手作業から成り立っています。
しかし、時代の流れとともに、着物離れが進み、
昭和の終わりには、織元としては「山崎麻織物工房」ただ1件となります。
それでも、日々、緻密な職人技で能登上布の特徴、
「絣(かすり)」模様を織り成すため、工房につとめる人たち、
そして、4代目織元・山崎隆(ゆたか)さんの織り続ける理由と思いを伝えます。