漆に金粉などをまき、装飾を施す蒔絵(まきえ)。
日本だけが生み出した漆の技です。
17世紀から海外の貴族や富裕層がこぞって買い求め、
漆は「japan」とまで呼ばていました。
しかし、海外では修復できる人がおらず、朽ちていく一方でした。
そんな状況を見るに見かねて、半世紀前、
たった1人で海を渡った人がいます。漆芸家の更谷富造さん。
相手は日本最盛期の名工たち。
海外を転々とし5000点以上を修復してきました。
そして去年、ついの住みかを漆器の産地、
石川県加賀市の山中温泉に構えます。
この小さな工房には海外から修復や制作の依頼が舞い込み、
日本独自の美を世界へと送り出しています。