スタジオに、法律のプロ「アディーレ法律事務所」 正木 裕美弁護士をお招きして、身近に起きる様々なトラブルについてお聞きしました。
Q.7年前に、友人のために質屋にものを入れてお金を貸したのに、質屋からものを出さず質流れに。さらにお金も使い込んで返せないと言われました。友人のために質屋に入れて用意したお金は・・・?
A.取り返せる
個人的に生活に困っている友人へお金を貸したようなので、相談者から友人への金の貸付は商行為にはあたらず、民法167条「債権は、10年行使しないときは、消滅する」という10年の消滅時効にかかると考えられます。
友人にお金を貸したのが今から7年前ということなので、消滅時効にはかかっていないと考えられ、友人に対し、貸した金を返せと請求できます。
質屋に入れたものはすでに質屋から流れてしまっていた場合、第三者が物の所有権を取得するので、物の返還請求はできません。
Q.戸籍謄本を取りに行ったところ、交際中の彼女が勝手に婚姻届を提出し、結婚していることになっていました。彼女が勝手に用意して提出された婚姻届は・・・?
A.無効になる
婚姻は、戸籍法の定めに従って届出をすることにより、法律上の効力を生じます。
しかし、婚姻届が提出されていたとしても、当事者の間で婚姻をする意思がないときには、その婚姻は無効となると定めています。
勝手に婚姻届を出すと、
・婚姻届に相手の同意を得ずに虚偽の記載をしたこと
・偽造した婚姻届を提出したこと
・虚偽の申し立てをして虚偽の戸籍データを記載させたこと
・不実の戸籍データを役所に備えつけさせたこと で、罪に問われます。
損害賠償も請求されかねませんので、気をつけてください。
Q.コーヒーショップでスマートフォンの充電が切れそうになり、観葉植物の裏に隠してあったコンセントにつないで充電しました。店のコンセントを勝手に使う行為は・・・?
A.罪になる
現在では、刑法には、「電気は財物とみなす」という規定が追加されています。
「電気を盗むと窃盗罪になる」ことが明らかになっているんです。
窃盗罪が成立するかのポイントは、「店側の同意があったか」です。
「カウンター席に多数コンセントが設置されている」というお店であれば、お店側が「ご自由にどうぞ」ということで同意があるといえますが、逆に「観葉植物の背後に隠れたコンセントを勝手に使った」となると通常は「お店側はびっくり=同意はない」ということになります。
お店の同意を得て使うというマナーを守っていただくのが大切です。
名古屋の事件ですが、名古屋駅構内の清掃用コンセントにノートパソコンをつないで5分間利用したというケースで書類送検までされた事件があります。
被害金額約1円だそうです。
少ないようですけど悪質な場合は罪に問われ有罪判決が出た例もありますので、注意してください。