伝統ある老舗の技、もてなしの心を通して石川の文化を再発見「老舗コンシェルジュ」。 今回は、藩政時代から八代続く、 金沢市大工町の「立野畳店」にお邪魔しました。 金沢市の繁華街から一本入った裏通りにある一軒の町家。 江戸時代後期の建造物として、金沢市指定文化財に指定されています。 香林坊で畳職をしていた立野家がこちらに移り店を構えたのは明治の中頃。
八代目の立野克典さんは、畳職人歴25年。 大学卒業後は普通に就職しようとした時期もありましたが、「みんなと同じ道を歩むのはイヤ」という考えがあり、7代続いた歴史や信頼は大事な財産と考え、引き継いで畳の世界に入ることを決心。 せっかく歴史ある町家という仕事場で仕事をしているので、自分たちがしていることを少しでもお客さんに伝えようと、作業着も昔ながらの町家の職人スタイルです。 粋ですね。 昔ながらの道具も見せていただきました。 畳は台の部分である畳床に、普段私たちが見ている畳表をかぶせ、畳べりで補強することで出来上がります。 立野家では、新しい畳つくりの他、「表替え」と「裏返し」という補修も行っています。 「表替え」・・畳表を新しく替える 「裏返し」・・今使っている畳表の裏側を使う また、畳は使っていくと、傷みが激しい部分やへこみの激しい部分が出てきます。 立野家では表替えや裏返しの際、新聞紙や厚紙を畳床に入れることで高さを補正しています。なかなかお客さんには気づかれないとのことですが、見えないところにも気配りがあるんですね。 そこには「せっかく生まれてきた畳、寿命をまっとうさせてあげたい」という、克典さんの畳を大切に思う気持ちが表れています。 昔は、職人の手仕事といえば手縫いが当たり前でしたが、最近は機械化が進み、手縫いをする機会も減ってきているとのこと。 また、「藁」を100%使った畳床も少なくなり、最近は科学素材を使った「建材床」が主流になってきています。 「やっぱり寝転がると大草原を感じられる自然素材の藁床が一番。もっとお客さんに本物の畳を知ってもらいたい」
「師匠であり相棒、そしてライバルである父親をいつか超えたい」という克典さん。 代々続く畳職人として受け継がれている心意気とは? 「日々勉強。座敷は壁や柱、建具などトータルで一つの作品となるため、他とのかねあいを見る必要がある。畳だけやっていればいいわけじゃない。畳を通して文化を継承している。」 お父様の七代目善吉さんの言葉にも重みがありました 「職人というものは死ぬまで勉強や、これからも勉強や」 技術を受け継ぐだけでなく、心意気も継承されてこその老舗なのですね。 【立野畳店】 金沢市大工町37 076-221-5269